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最高裁判所第三小法廷 昭和43年(オ)1327号 判決 1969年4月15日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人杉之原舜一の上告理由一について。

原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)は、原審における上告代理人の所論の主張と同旨の第一審における上告人らの主張について、上告人らが被上告会社を退職するまでの経緯を詳細に認定して所論公序良俗違反による労働契約の合意解約無効の主張を排斥したものであることが明らかであり、右判断は正当として是認することができるから、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

同二について。

原審の認定した事実関係のもとにおいては、本件建物の利用関係は賃貸借ではなく、鉱員たる資格の存在をその使用関係存続の前提とする社宅に関する特殊な契約関係であつて借家法の適用はない旨の原審の判断は、正当として是認することができる。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は、異なる見解に立つて原判決の判断を非難するものにすぎず、採用することができない。

同三について。

原審の確定した事実関係のもとにおいては、被上告会社の上告人らに対する本件建物明渡請求をもつて権利を濫用するものとはいえない旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 関根小郷 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)

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